前回からつづきます。
かなりユニークな経歴をへて、株式会社ネッツというIT企業に就職しました。
勉強会なりでしゃべるときの自己紹介では、名前を出さずにSI孫請け(直請けもしていましたが)と表現することが多いです。
そういった場所ではSI業界の会社は大手でもそれほど名前が通っていない(多分自分も上場企業ですら分からないです)ですから、大体こういうところで仕事していました、といったニュアンスです。
7年ほど勤めました。
就職経緯
正直、IT業界に就職ができればどこでもいい、という感覚でした。 もちろん、条件はいいことに越したことはないのですが、そんな贅沢を言えるような経歴でもないので、とにかく手に職をつける、です。
無数にある求人の中での決め手は「本社が自宅に近かった」です。
ご存知かとは思いますが、SI孫請けクラスの企業では、派遣先や請負先で作業をすることが多いのであまり本社の位置は関係ないのです。それでも本社作業をそれなりの期間していたので、近いことには意味があったかな、と思います。
印象に残っている出来事
離職してから大分時間がたっていることもあり、かなり記憶は薄れているのですが、それでも覚えている、印象に残っている出来事をいくつか書きます。
強烈な失望感を与えた(と思う)質問への回答
入社から間もない時期に社内の情報システムを管理している方の作業を手伝う場面がありました。
その際に、実力を測る質問を受けました。
「サブネットマスクって何か説明できる?」
こんな感じの質問だったでしょうか。これに答えられませんでした。
なんでこんな質問を受けたのかというと、入社した年にネットワークスペシャリストを記念受験していたからです。 今にして思えばこんなことも知らずになんで受けたのか謎です。
恐らく先方にとってはどうってことない質問と、想定された回答だったと思うのですが、何故だか強く記憶しています。
今だったら、
「ネットワークを任意のサイズに分けるための仕組み。マスクしたネットワークを独立したLANとして扱える」
のように答えられるでしょうか。 今でもインフラ寄りはサッパリなので、ちゃんとは答えられません。
この質問はIPの基本知識を問うのにすごく良いな、と思います。
リーマンショックと東日本大震災
入社直後、その数年後に非常に大きな人災? と災害がありました。
それまでSI業界はいわゆるITバブルで潤っていたのがこれらで崩壊して、相当な数の中小企業が倒産したリ、リストラしたり、といった時期でした。
それをリストラなし(給与カット等はありましたが)に切り抜けて、ほどなく黒字転換しています。 純粋に凄いと思います。
自分と自社の成果物
これはネッツでの一番のターニングポイントとなった出来事です。
ある請負の仕事で設計の成果物がUML(クラス図とシーケンス図)だったことがありました。
自分自身UMLは描けていなかった(今でもちゃんとしたのは描けない)のですが、それ以上に自社の成果物がほぼ真っ白でした。
要求されているのは、それなりに正しいUMLだったのに、です。 これに他社の成果物を見て気が付きました。 あまりにもクオリティに差がありすぎる。と。
自分は1メンバーとして参画していたのですが、現場でのリーダーを越えて、教育上の上司に文字通り泣きつきました。
「うちらの成果物はぐちゃぐちゃです。このままじゃ検収してもらえません。どうにもなりません」
の様な感じだったと思います。
この泣きつきを拾っていただき、社内から人をかき集めてリカバリして貰いました。
結果、納品はどうにかなって、請負元との取引も続きました。
上司運は良かったように思います。
どなたも癖のある自分を上手くコントロールしてくれていました。
なんだか上手く書けていない、泣きついたりしたこともあって感情的にもぐちゃぐちゃな出来事だったのですが、これ以降何かを作るに当たっての意識が自分の中で変わりました。
どういった成果物が必要とされているのか? など、自分以外の目線で仕事の結果を見るようになった気がします。
顧客が求める価値
ある請負の仕事で、POSレジアプリケーションの改修を行いました。
POSレジなので、レシートの印刷機能があります。
その印刷機能の実装が正しくプリンタのインタフェースを利用しておらず、印刷速度が非常に遅かったのです。 (具体的にはバルクで文字列を転送できるところ、1文字ずつ転送していたので遅かった)
これを実装しなおして適正な速度で印刷できるようにしました。
その際の自分と上司とお客のやり取りはおおむねこのような感じでした。
「これでプリントが爆速になるんですけど、お金になりませんかね?」
「提案してみるわ」
「いや、いまのままでいいです」
何に価値があるのかは分からないな。と思いました。
これに懲りず、明確な仕様の範囲外でも「この方がいいだろう」は常に模索していますが、そういう行為は基本的には報われませんね。
今ではそれでもいいかなぁ、と思っています。
自己満足が基本にあって、オマケで他の価値がくっついてきたら御の字、といった感覚でいます。 数を撃てばたまには当たります。
本当に必要なら予算がおりますしね。
こんなところです。
何か思い出すことがあったらまた書くかもしれません。
転職契機
自分はこんなBlogを書いたり、しばしば勉強会に遊びに行ったりしています。 当時からそれなりにエンジニアエンジニアした仕事をしたいと思っていました。
これに対して、SI業界にはそういう感じがあまりないので、業界を少し変えたいという思いがありました。 (もちろんそれだけではないですが)
とにかく「履歴書が弱い」ので、履歴書なしで転職できるルートで緩やかに活動していました。
その中の一つがCodeIQです。
2017年10月現在は、自分が利用していた2014年とは大分様変わりしていますが、コードを書いて転職するという基本的な方向性は維持されているのではないかと思います。
その活動の結果、当時非常に活発に中途採用を行っていた DMM.comラボ に引っかかったのでした。
つづく。